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【MTF記録】気のせいじゃなかった、からだの変化と心の変化

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中年から始めた、静かで確かな一歩

女性ホルモン注射を始めて、もう少しで一か月になります。
始める前は、期待と同じくらい、不安もありました。

「この年齢から、本当に変われるのだろうか」
「若い人たちのような変化は、きっと起きないだろう」
「結局、何も変わらなかったらどうしよう」

そんな思いを、何度も頭の中で繰り返していました。

でも今は、はっきり言えます。
変化は、確かに起きています。
それは派手でも、劇的でもないけれど、
毎日の生活の中で、静かに、確実に感じられる変化です。

「気のせい」から「確信」に変わった瞬間

これまでにも、体の違和感のようなものはありました。
乳首が少し敏感になった気がする、
触れると以前より成長しているような気がする。

けれど、それらはすべて
「気のせいかもしれない」
「思い込みかもしれない」
そんな曖昧な感覚のままでした。

はっきり変わったと感じたのは、
体にフィットしたヒートテックの下着を着たときです。

布の上からでも、乳首がぷっくりと浮き出るのがわかる。
鏡を見なくても、感覚として“そこにある”と感じる。
そして、荷物を胸に抱えたとき、
乳首が当たって、はっきりと痛みを感じました。

その瞬間、
「あ、これはもう気のせいじゃない」
と、心の中で静かに確信しました。

胸全体のハリは、正直なところ、
以前ほど強く感じなくなっています。
でも、部分的な変化は、むしろわかりやすくなってきました。

変化の形は人それぞれ。
同じようにホルモンを始めても、
感じ方も、進み方も、本当に違います。

だからこそ、
「自分だけ変わっていない気がする」と悩んでいる人には、
声を大にして伝えたいです。

変化は、意外なところから、
静かにやってくることもあります。

今は「減らす」より「つくる」時期

最近は、バストアップのことも意識して、
食事内容も少し見直しています。

以前はダイエットを意識して、
野菜やきのこが中心。
肉は「できるだけ控えるもの」になっていました。

でも今は、考え方を変えました。
今は体を整え、つくっていく時期。
そう思って、胸肉を中心に、
たんぱく質をしっかり摂るようにしています。

正直に言えば、体重は増えています。
若い頃のように、食べても大丈夫、ダイエットすればすぐ戻る、
そんな体ではありません。

それでも、今はそれを「失敗」だとは思っていません。

階段を降りるとき、
ほんのわずかに胸が揺れる感覚があります。
たぶん、ただ太っただけ。
医学的に見れば、それが現実でしょう。

それでも、
「もしかしたら」という期待を含めて、
その感覚を楽しんでいる自分がいます。

年齢を重ねると、
体重が増えることは、どうしてもネガティブに捉えがちです。
でも今は、
「変わろうとしている体の途中経過」
そう思えるようになりました。

湯気の向こうに見える、自分の新しい輪郭

入浴後、
湯気でくもった鏡に映る自分を見るのが、
最近は少し好きになりました。

輪郭がぼやけているからこそ、
細かい欠点が見えなくて、
全体のシルエットだけが、やわらかく浮かび上がる。

その姿が、
ふと、女の子っぽく見えることがあります。

はっきり見えないからこそ、
想像の余地があって、
その一瞬が、胸の奥をあたたかくしてくれます。

最近は、服装や表情も、
以前より自然に感じられるようになりました。

昔は、
「もっと女性らしくしなきゃ」
「ちゃんと寄せなきゃ」
そんな思いで、どこか無理をしていました。

今は、
“頑張って女の子になる”のではなく、
“今の自分を、そのまま生きる”
そんな感覚に近づいています。

声を隠さなくなった自分に気づいて

以前は、買い物のレジで店員さんと話すとき、
自分の声が低いことを、どこかで気にしていました。

少し高めに出そうとしたり、
早く会話を終わらせようとしたり。

でも最近は、
特に意識せず、普通に話しています。

自分の声は、確かに男性的です。
それは、今すぐ変わるものではありません。

それでも、
「それも含めて今の自分」
そう思えるようになったことで、
気持ちがとても楽になりました。

女性として生きたい、
女性のように人生を楽しみたい。
その思いと、
男性として過ごしてきた時間は、
決して矛盾するものではない。

今は、そう感じています。

中年からの、遅くて、でも確かな選択

若い頃のように、
勢いだけで人生を変えることはできません。

体力も、回復力も、
少しずつ落ちていくのを実感する年齢です。

これから先、
老いていくことを止めることはできない。
それは、誰にとっても同じです。

それでも、
「どう老いていくか」は、
まだ自分で選べる。

中年になって、
残りの人生は、
女性のように、
女性としての時間を大切にしながら生きたい。

それは、逃げでも、現実逃避でもありません。
今まで積み重ねてきたものを抱えたまま、
その先を、自分らしく歩いていくための選択です。

思っていた以上に、穏やかでポジティブな日々

女性ホルモン注射を始めて一か月。
正直、もっと不安定になると思っていました。

感情が乱れたり、
後悔したり、
迷い続ける日々になるかもしれない、と。

でも実際は、
思っていた以上に、穏やかです。

小さな変化に気づいて、
それを大切にして、
一日一日を、ていねいに過ごしている。

同じような悩みを抱えている方へ。
年齢が気になって、
「今さら遅いのでは」と思っている方へ。

変化は、派手じゃなくていい。
ゆっくりでいい。
誰かと比べなくていい。

今の自分を否定せず、
少しずつ、自分に近づいていく。

それだけで、
人生は、ちゃんと前に進んでいきます。

これから先、
どんな変化が待っているのか。
不安もありますが、
それ以上に、楽しみがあります。

この記録が、
どこかで誰かの背中を、そっと支えられたら。
そんな気持ちで、
これからも書き続けていこうと思います。